研究嗜好

応用確率論,応用表現論。

かけ離れた学問の境界線に魅力を感じています。 最近はPerci Diaconisが提唱した、有限群の表現論を確率論に用いる手法に興味をもっています。を用いるこの手法を使えば、全てカードの組み合わせを同確率で起こすために必要な最低のシャッフル回数、などを求める事が出来るのです(つまり混沌と整序の境界線を計算出来る)。

数学以外のいろんな領域の人とも繋がりをもつ事が好きです。また、数学、特に離散数学や確率論が実世界で意外な所に使われるのを見る事も好きです。以下は、僕が気になっている、又は探求している/し始めている事です。

  •  カード・シャッフリング: Perci Diaconis氏はShashahani氏と共に、Gelfand-pairs等の有限群の表現論の手法を確率論に用い、トランプカードn枚のシャッフルにおいて、全てカードの組み合わせを同確率で起こすために必要な最低のシャッフル回数は1/2nlognで有る事を示しました。驚くべき事に、nlogn回目のシャッフルは初期の分布から一定分布までのVariation距離が急激に小さくなるカットオフタイムになっています。(グラフにすると、まるでStep関数のよう!)トランプのシャッフルは、対照群におけるランダムウォークに値します。僕は、Braid群においてランダムウォークを行った場合、Pseudo-Anusov状態に収束するまでに似たような現象が起きるのではないかと思っていますが、まだこの研究は本格的に始めていません。Braid群は液体のかき混ぜ方や、タンパク質の構造にもアプリケーションがあるので、非常に興味があります。
  •  化学反応ネットワーク : 2010年度より、化学反応ネットワークの確率論的解析を研究する予定です。 化学反応のネットワークの均衡は、幾何学的に解析する事が出来ます。これは、化学反応に関わる分子がn種類なら、n種類の分子の量の変位はn次元の多面体の中で表す事が出来るためです。これに化学反応ネットワーク中の「堰」(siphon) や反応スピードなどを考慮し、代数幾何、特にトーリック幾何を用いて均衡について研究をしたのが Sturmfel, Craciunが率いるグループでしたが、それにもっと複雑化した確率モデルを導入することを 試みることを目標とします。 関わる粒子数の少ない反応ネットワークなどでは、よりよい確率モデルに組み込む事は特に重要になります。たとえば、細胞内のタンパク質の製造に関わるmRNAなどは粒子数が得に少ないため、それに当てはまります。
  •  FFT : 有限群群環における高速フーリエ変換。大学時代から進めている研究です。下記を参照してください。
  • バイオの世界に対してのアプリケーションには特に興味があります。機会があればドンドン関わって行きたいでので、コネクションを感じられた方がいたら是非!声をかけて下さるとウレシイです!


    既に掲載された論文

  • Irreducible graphs( Michael Orrison, David Neel共著,) Journal of Combinatorial Mathematics and Combinatorial Computing掲載.


  • FFT について。

  • テンソル基底を使った高速フーリエ変換 (FFT)
    Mike Hansen, Michael Orrison , David Hemmer と現在共同執筆中.

    群環に置けるフーリエ変換とは、Wedderburnの定理で定義される、群環から行列環への同型写像の事です。  一般に知られている離数フーリエ変換は、群環の群が循環群Cnの時の特別なケースです。循環群のような、 群環が可換の場合の高速フーリエ変換は現時点で極められているのですが(n次元のときのランタイムがO(nlogn))非可換の群環におけるランタイムは極められていません。しかし、対照群の群環などは、系統樹データの解析や選挙データの解析等、様々な面白い分野で重要な役割をもっています。

    私は、ハービーマッド大学 応用代表論研究チーム(ART) のMike Hansen, Michael Orrisonと共同で、Semi-Normal unitsと言われる原始ベキ等から作った基底を使った、対照群の群環, CSnにおける高速フーリエ変換 を研究しています。 これまでの高速フーリエ変換は、どのような演算子をどこで使うかと言う事に重点を 置いた、「演算子の数学」でした。David Maslenが開発した公式の世界最速の対照群FFTは、この「演算子の数学」の真骨頂です。しかし、この手法では、アルゴリズムが非情に複雑になる傾向があります。

    私たちは「線形代数」の視点から見た、「基底」を重点に置く、実用化が易しいFFTを提唱します。この新しい視点から、私たちは郡環の中に隠されたシンメトリーを有効活用し、David MaslenのFFTの を凌駕する世界最速のスピードを持ち、且つ中間の基底が全て直行である対照群FFTを作り出しています。 (現在、漸近速度がO(n^2 n!)である事を証明中です) 私たちがテンソルFFTと名付けたこのFFTアルゴリズムは、他のWeyl群の群環にも応用出来る可能性を秘めています。 下記のリンクは、このFFTの基盤となった私の大学時代の卒論です(テンソル基底についての記述は最後の方)。

    Fast Fourier Transform for Symmetric Group.